低血圧の実存的症状

低血圧の方は身体的なキャパシティが多くはなく、心理社会的な反応のなかで自己疎外現象をおこしいく結果、生きる意味を見失ってしまうことがあります。その結果、絶望の淵に立たされ、自己の存在の意味をどこにも見出せなくなり、抑うつ的になってしまい、ついに、自己否定の中で自殺を企てでしまうということも決してまれではありません。

人間の実存性とは、その人にしかできない人生を生きることです。ですから、実存性とは、自らの生きる意味に目覚め、自分だけの人生の持つ自由性と責任性をしっかりと認識し、かけがえのない豊かな人生を築き上げることを意味します。

高いＱＯＬ（生命の質）は、豊かな実存性の自覚の中に保証されます。私たちの人生の意味や目的は、その固有の社会性の中に、自ら探し求めた役割として、また与えられた役割として見出せますが、もともと低血圧の方は身体的なキャパシティが大きくないため、自己疎外現象により、生きる意味を見失ってしまうことがありますが、そうした方を絶望の淵から助け出し、人生の喜び、生きる希望に目覚め、死の淵から引き戻せた例も少なくありません。豊かな感受性、無限の可能性をもつ低血圧さんたちが苦しみから開放され、大いなる人生を創造することには十分意味があります。低血圧の方は血圧が低いということだけではなく、全人的に、身体的のみならず、心理・社会的にも、また実存的にも苦しんでいます。その苦しみから開放するために、低血圧の方の治療にＱＯＬ（生命の質）の概念を持ち込むことが大切になります。