低血圧治療【塩分摂取】
塩分もとったほうがよい理由
水分をとることは低血圧を防ぐうえで重要なことなのですが、それだけでは効率よく水分を血管内へとりこむことはできません。水分の吸収は塩分によってよくなる水分が胃や腸の粘膜を通りぬけるときには、ナトリウムが混じっていないと浸透圧の関係上、吸収がよくならないのです。ですから、食塩は塩化ナトリウムなので、塩分が必要であるということになります。理論上は、蒸留水の場合には吸収しないとされています。ある製薬メーカーのデータによると、水道の水とスポーツドリンクでは、水分の吸収率はスポーツドリンクのほうが約2倍であると結論づけられています。スポーツドリンクのなかに入っている塩分が水分の吸収を助けているのです。
塩と塩化ナトリウム
塩はなるべく天然の物を選びましょう食塩は塩化ナトリウムで塩ではありません。塩による弊害の多くは、塩化ナトリウムの摂りすぎが原因です。
心臓病や肝臓の病気には塩分は禁物
最近では減塩ブームがつづいており、一般に食塩の使用量が少なくなっています。脳血管障害、心筋梗塞、高血圧の元凶としてかつて塩分悪玉説が一世を風靡しましたから、塩分のとりすぎに対して現在でも必要以上に敏感になっているように思います。2年ほど前に、外国の権威ある医学雑誌が、腎臓が正常な人では余分な塩分はすべて排出されることを指摘し、その事実を新聞も「小さく」報道したことがありますが、ある程度の医学的知識をそなえた医師なら、すでに知っていたことです。たしかに、高血圧や心不全の患者さんが塩分をとると、水分吸収をうながすために循環血液量がふえてしまいますので血圧が上昇したり、心臓の負担をふやします。腎臓がわるい人の場合には、塩分の排泄能力が劣りますから摂取量をひかえなければなりません。
塩分を制限しすぎると
無茶苦茶に大量の塩分をとることはもちろんすすめませんが、とくにそれらの病気がない人が塩分を適切にとらないと、循環血液量が少なくなって、結果として血圧は低くなります。ましてやもともと血圧が低い人が塩分を制限してしまったら、いっそう血圧が下がって、低血圧の症状が強まってしまうことが多いのです。ですから血圧が低い人にとっては、水分をとるときに、同時に塩分をとることによって水分吸収を高めることが重要なのです。スポーツドリンクを飲むのは、塩分と水分のバランスのうえではよいのですが、あまりたくさん飲むと糖分が多くなってしまいますし、また飽きてもくるので、水やお茶を飲むときに、漬物をすこし食べるなどの工夫をするのもよいのではないでしょうか。