起立性低血圧は直後型、延滞型、中間型の種類があります。また、ここでは起立性低血圧の原因についても解説します

低血圧症状

起立性低血圧、原因と種類

起立性低血圧は、体位を変換するときに起きる低血圧です。

臥位から立位に体位を変えると、収縮期血圧が21mmHg以上下降する疾患です。それに伴い、さまざまな症状が起きてきます。よく朝礼で倒れる高校生や、電車の中で真っ青になってしゃがみこんでいるOL、夜間、トイレに立った老人がふらっとして、倒れる(転倒)などがまさにそうです。起立性低血圧の診断基準として、小児自律神経研究会が作成したOD(起立性調節障害)の診断基準に立位後の血圧低下(収縮期血圧低下が21mHg以上)を必須条件とした本多の診断基準がよく用いられています。

起立性低血圧の種類

直後型(1型)
起立性低血圧には、臥位から立位に変わって、すぐ倒れる
遅延型(2型)
立った後、10分位かけてじわじわと血圧が下がり、ついに倒れる
中間型(3型)
その中間に位置する

若い方には「遅延型」が比較的多く、「直後型」は比較的ご老人に多いのが特徴です。病因を検討してみると、「遅延型」は心臓自体の交感神経(自律神経系)に問題がある場合が多く、「直後型」は脳の中の血圧中枢(血圧のコントロール・センター)や静脈うっ血に問題のある場合が多いようです。したがって、その病因により、それぞれ治療方法が変わってきます。

起立性低血圧の原因

起立性低血圧の原因の根本は、自律神経系の障害

自律神経系はからだ全体に張り巡らされていて、毎日生きていくのに不可欠な心臓の動きや血液の流れ、呼吸、消化器の機能などを、無意識のうちにコントロールしています。また、中枢は脳にあります。からだの中には、血液が絶えず循環して、血管の中を流れ酸素と栄養をくまなく全細胞に供給し、不要になった炭酸ガスと老廃物を運び、捨ててくれます。その中心的役割をはたしているのが心臓です。
横になっている時、心臓は頭に血液を送るもの、足に血液を送るのも同様の力でよいのですが、いったん立ち上がると、血液は重力に引かれ、下半身の方にさがってしまいます。この時、脳に十分血液が還流されていないと、脳虚血(脳貧血)の状態がおきてしまいます。人間の生活の中心は立位・座位にあります。すなわち、上半身を起こして仕事をしたり、趣味に励んだりするのが人間らしさなら、脳貧血ばかり起こしていては、人間らしい活動はできなくなってしまいます。

脳貧血を起こさない、からだのしくみ

立ち上がるとき、心臓から脳へ行く血管(頚動脈)の血流は一瞬減ります。それを頚動脈洞(頚部の血管にある)についているセンサーが敏感に感知します。それは神経(自律神経)を通って脳に伝わり、脳の血圧コントロールセンターは即座に判断し、反射的に心臓に命令を送り、数を増やして打つように、すなわち脈拍(心拍数)を増やすよう命令します。ところが、立ったために血液は下半身へ下がり始めているのですから、脳は下半身にある末梢の血管に収縮するよう命令を下します。こうしないと、末梢の血管から心臓に環ってくる血液が少なくなり、血液は下半身に貯留し、心臓はただ空回りするだけになってしまいます。こうならないために、立位をとると同時に末梢の血管が十分収縮し、その結果、心臓に還った血液が順次、脳に回り、脳貧血を起こさずに済むというからだ全体の反応があります。このような自律神経反射が、健康人なら一瞬のうちに行われるのですが、起立性低血圧の患者さんではこの機構のどこかに障害があり、うまくいきません。朝は特にこの反射が鈍く、スムーズに行われるのに時間がかかります。この病気が思春期と初老期に多いのは、思春期は自律神経系が完成期であるからであり、初老期には脳の動脈硬化が潜在するからでしょう。さらに、心理的に患者さんにストレスをかけると、この状態は一層ひどくなります。ストレスによりこうした状態を悪化させる物質が一層多く出るからです。

スポンサードリンク

ページの先頭へ