低血圧の社会的症状
過剰適応と適応不全
低血圧は、社会環境に対する適応状態から、【過剰適応】と【適応不全】に分ける事ができます。
※過剰適応とは、無理をしてまで適応するケースの事、適応不全とは、適応がうまく行かないケースの事を言います。
過剰適応
低血圧なのに、身体的に無理をしてまで社会適応をしようとするため、結果的にストレスを日々感じることになります。その結果、社会的には成功し周囲から高い評価を受けるのですが、いつの間にか、失感情症(自己の感情の変化に対する気づきの抑えられた状態)、失体感症(自己の身体の変化に対する気づきの抑えられた状態)に陥り、せっかく社会的に成功しても、残念なことに突然死や、梗塞性疾患(脳梗塞、心筋梗塞など)、ガンの発症など悲惨な結末に終わることが多いようです。
失体感症・失感情症は、からだやこころへの気づきを押さえてしまうくらい激しい自己抑圧の結果とも言えます。また、うつの合併も過剰適応の結果です。ストレスをうまくコントロールして、ストレスの原因から自己を解放しましょう。
適応不全
低血圧による様々な症状が現れてきても、症状の原因が低血圧であることがわかっていない場合が多いと言えます。
不登校状態や、出勤不能状態に陥ることすらあります。朝が起きられないため、学校や職場を遅刻したり、それも遅刻の常習犯となったり、登校してもすぐトイレに走るなどの症状があります。また、学生の場合、成績が落ちてしまうことがあります。特に春から夏にかけての成績が落低血圧の学生さんは試験に弱いという傾向もあります。緊張しやすい上に、朝調子が出ないからです。
低血圧の初期の頃には、低血圧病態にその原因の端を発した朝起き不良や腹痛、下痢、頭痛といった身体的理由により、やむを得ず不登校や、出社不能という状態に陥ります。こうした症状が心配になって、病院へ行って診てもらっても、多くの場合、器質的異常はありません。血圧を測っても、ほぼ正常になってしまいます(白衣性昇庄反応)。その結果、正しく低血圧を診断されずに終わってしまい、また、めまいなど、患者さんが訴えた症状の対症療法ばかりに終始したり、さらにまた、前面に出ている不登校や出勤不能状態といった心理・社会的問題ばかりに焦点を当てられ、その本質を見誤られてしまいます。そのうち、患者さんはやがて自ら登校を拒否したり、出社をやめてしまうなどの神経症的心理反応を発生させるようになります。また、うつ反応が現れてしまうこともあります。こうした状況は、低血圧という身体疾患がこじれてしまい、心理・社会的状況にまで及んだ結果と言えましょう。一端、こうした状態に陥ってしまいますと、その是正のためには、かなり長い間と、患者さんと治療者双方の治療への大きな熱意と努力が必要になってきます。