低血圧治療【水分摂取】
低血圧の人が水分摂取をする事により、水分が血管内に入り、循環血液量が増えます。その結果、血圧がすこし上昇し低血圧症状が改善されます。
水分をたくさんとることが大切です
低血圧をおこす要因のひとつに、循環血液量の減少があげられます。血管のなかを流れる血液をふくむ水分全体の量が少なければ、結果として血管内の圧が下がるからです。この下がった圧をおぎなうには、血管内に水分をいれてやることが大切。とくに春から夏にかけては気温が上昇してきます。気温が上昇すれば、血管がひろがり、そのために圧が下がります。さらに、汗をかくと血管内の水分が失われます。これを補うには水分をとりこむ必要がありますが、ふだんからの水分摂取量をふやすことが大切です。水分を失う量がふえてくるにつれて、水分をとる量をふやしていかなければなりません。
どれくらいの量の水分を摂ればいいのか
どのくらいの水分量を摂ったらいいかというと、真夏に暑いところで仕事や運動をすると、1~2キログラムほど体重がへります。糖分やタンパク質もおなじように消費されますので、はっきりと計算できるわけではありませんが、目安として、体重の1~2キログラムすなわち1~2リットルの水分が失われていると考えてそう大きな差はないでしょう。ですからこんなときには、冬にくらべて1~2リットル余分に水分をとっておく必要があるでしょう。
水分さえしっかりとればよいか?
血圧の低い人は、あまり汗をかかないと思っている人が多いようです。夏に適切な体温を維持するためには、だれでも一定の汗をかくことで気化熱を放出しています。急な運動をしたり、急に暑い所へでたりしたときとはちがって、皮膚の表面から汗がじわじわ気化しているような場合には、つい汗をかいていないように思いがちですが、汗をかかないと思っている人でも、実際は汗として水分を失っています。また、水分をとると汗をかくからいやだ、という人も少なくないようですが、水分をとったほうが汗の量が多くなるのですが、暑いときに無理に水分をとらずにいると、血液が濃くなります。血液が濃くなれば血液のねぼりけ(粘調度)が上がります。若い人ならまだいいですが、すこし年齢が高いと、血液が濃くなると脳梗塞をおこしやすくなってしまいます。ですから、汗をかくのが嫌だから水分をとらないといった行動は、低血圧だけにとどまらなず、様々な結果をひきおこすことがありますので、絶対に避けることが重要です。ただ、水分さえしっかり摂ってさえいればそれでよいかというと、そうではありません。同時に塩分もとらないと、水分の吸収の効率は高まりません。
尿の量は腎動脈の血流量で決まる
水分を口からとるにせよ、点滴でいれるにせよ、その結果として尿の量がふえることは事実です。水を飲むとすぐに尿になると思っている人は多く、まるで胃が腎臓につながっているかのように思っている人がときどきいますので、実際の生理現象について説明しておきます。
血管のなかに水分がふえると、腎動脈に流れる血流量も増加します。腎動脈での血流量がふえたことが感知されると、その結果として腎臓で濾過される尿の量が決まるのです。ですから、水分を多くとった場合には、すぐにとはいえませんが、数時間のうちに尿がふえるのは事実です。腎動脈の感知能力は普段の血流量によって定められています。急に血流量がふえたときには尿の量も多くなってしまいますから、たとえば、低血圧症状でふらふらになって点滴をしたとしても、循環血液量はまもなく元通りになってしまいます。
腎動脈を時間をかけて慣らしていく
循環血液量を増やすのは簡単ではありません、普段から水分を多めに摂取することによって腎動脈を慣らしていくことが必要です。
暑い時期に、低血圧症状を起こし、点滴で良くなっても、また翌日にもおなじような症状があらわれ、結局夏が過ぎるまで点滴をつづけなければならないといった事がありますが、こういった場合は、翌年の春ごろ、気温がすこし上がりはじめたころから、毎日すこしずつ水分摂取量をふやしていくといいでしょう。そうすることによって腎動脈を慣らしていきます。もちろん水分摂取だけが、低血圧症状改善の条件ではありませんが、その時点だけの症状に対応するだけでなく、このように1年ぐらいの単位で対応策を考えておくことも、大切なことです。